
文・写真 Toshiki Minamiguchi

ただ一人で路地を歩きまわるためだけに人は国境をこえることもあろう。
ただ土産ものを買うためだけに南の島へ行くことだってあると疑わない。
そういうのが前提となってマーケティングが成立する世の中になったんだと思う。
近道をしようと、てきとーに選んだ道が間違ってるんじゃないかと気づいた時、辺りの雰囲気が表通りとはまったく異質なものになっている。こういうのにでくわすためにわたしたちはたった一人で黙々と歩きつづけていたりする。
上海は、好きな都市の一つだ。
日本ではゆずりあいの心で日々生きていることが多いけど、上海ではゆずってばかりはいられない。そんなことをしていたらいっこうに前に進めない。チケット売り場での話だ。
日本ではこういう時、私の場合けっこう考え事をしながらつっ立ってることが多いけど、こちらではかかとを浮かせて前のめりの状態をキープしている。
信号待ちの時なども、人々は己の信号を優先するので、ここでも考え事をしていてはおいてけぼりをくらう。いちはやく一目散に道路のむこうがわへと駆け抜けることになる。
ただ、数日もすると、いつしか私だけが道路のまんなかで交通警備のおっちゃんに注意されるようになる。不覚にも、フライングだ。世の中は単純に競争ではないことを知る。
Right, there is nothing. #2 2009.5.3
