
文・写真 Toshiki Minamiguchi

私のなかではいまだに接着材なんだけど接着剤に思えない存在が木工用ボンドだ。
この木工用ボンドはもともとは存在しなかったように思う。
もちろん商品なのだから開発される前は存在しないはずだ。だからそういう意味ではなくてもともとあったプラスチック用接着剤の後から"新しいライン"として生まれたのが木工用ボンドだというわけだ。
このあたり裏を取ったわけではないのでまちがっているかもしれない。ネット検索すればすぐにでも出てきそうだけど、そこをポイントにしているわけではないので少々乱暴だとは思うけどこのまま話をすすめたい。
つまり私の記憶のあいまいさからのイメージ、私の勝手な木工用ボンドに対する思い入れの話として読んでいただければ幸いだ。
透明に近い接着剤や黄色っぽい粘り気のあるボンド、これもすごいかたよった記述ではあるけど、そのようなイメージを持っていた私の前に白い木工用ボンドは突如として現れた。
木と木がボンドでくっつくというのと、色が白いというのはまぎれもなくスターの登場であり画期的だった。どのくらい画期的だったかというと、もうとにもかくにもなにがなんでも使わずにはおれないくらいだった。
近所の資材置き場で適当に小さな木片を拾っては、そのとろりとして、すは~んと鼻をつくにおいのボンドでくっつけてはまたはがしてを繰り返し、接着面をなんどもなんども確認していた。
こどもがなぜこのような木工用ボンドの研究チームのようにそこまでしなくちゃならないのかはよくわからないのだけど。
さらに、木工用ボンドのすごいところは乾いた後に透明になることだった。
その、いかしたところを接着面として隠しておくだけではもったいない、と、私は木の表面に塗り、ながめては、その透明になったボンドをはがすことを繰り返した。
いまは、ドテンとそこらへんに転がっている木工用ボンドだけど、ただの接着剤ではないという私のイメージはいまなお健在である。
Right, there is nothing. #21 2009.12.14
